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色鮮やかな母親の絵に対し、黒の色鉛筆だけで自分を描く結菜。
体…服の部分も棒人間のような簡素な描き方だ。
顔は輪郭だけで、目や口は何も描かれていない。
そして結菜が自分を一通り描き終えると…
またしても自分の…表情の描かれていない顔の部分を黒く塗りつぶしはじめた。
結菜…
私は思い切って聞いてみた。
「どうしてお顔を黒くしちゃうのかな?」
結菜は黙ったまま、その黒を更に黒く塗りつぶす。
私がかける言葉が見つからずのままにいると…
結菜は黒く塗った顔に白い紙の隙間が無くなると色鉛筆を置いた。
「できた」
私は意を決した。
「結菜、ココおいで?」
膝をポンポンと叩いて私の上に座ることを促すと、結菜は一旦立ち上がり、私の膝の上に座った。
横向きに座った結菜の手を握り、ひそひそ声で話しかけた。
「今から佐和ちゃんと2人だけの内緒のお話をしよう。結菜…お話してくれるかな?」
結菜は少し考えた後…
「いいよ、佐和ちゃんと内緒のお話する!誰にも秘密のお話だよね?」
意味や私の意図がわかってか否かは定かではないが、結菜はそう答えた。
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