CASE 1

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  色鮮やかな母親の絵に対し、黒の色鉛筆だけで自分を描く結菜。   体…服の部分も棒人間のような簡素な描き方だ。 顔は輪郭だけで、目や口は何も描かれていない。     そして結菜が自分を一通り描き終えると…   またしても自分の…表情の描かれていない顔の部分を黒く塗りつぶしはじめた。     結菜…       私は思い切って聞いてみた。 「どうしてお顔を黒くしちゃうのかな?」   結菜は黙ったまま、その黒を更に黒く塗りつぶす。     私がかける言葉が見つからずのままにいると… 結菜は黒く塗った顔に白い紙の隙間が無くなると色鉛筆を置いた。   「できた」     私は意を決した。       「結菜、ココおいで?」 膝をポンポンと叩いて私の上に座ることを促すと、結菜は一旦立ち上がり、私の膝の上に座った。   横向きに座った結菜の手を握り、ひそひそ声で話しかけた。 「今から佐和ちゃんと2人だけの内緒のお話をしよう。結菜…お話してくれるかな?」   結菜は少し考えた後… 「いいよ、佐和ちゃんと内緒のお話する!誰にも秘密のお話だよね?」   意味や私の意図がわかってか否かは定かではないが、結菜はそう答えた。  
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