CASE 1

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  「結菜が死んじゃったらダメでしょー!ママが悲しんじゃうよ?泣いちゃうよ!?」 そう言った私に…   「違うよ?結菜がいるからママは可哀想なの…」 と間髪入れずに答えた。   そして続けた。     「結菜、死んであげたいのに、死に方がわからないの…」     直感的に母親に何かを言われたのだと感じた私は…   5歳児の心を支配するものを想像したのと、結菜の悲壮な顔と、あまりの健気さに… 泣きそうながら、吐きそうにもなった。     ダメだ。 いま私が泣いてはダメだ。   潤んでしまった目から涙がこぼれないように、目を大きく見開いて天井を見上げ、瞬きをした。       「ママ…結菜に何か言ってた?」   「…」     「なんで結菜が死んであげたいと思うのかな?」   「…結菜ね……」  
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