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誰かと電話をしている時に、母親が会話の中で発した言葉…
『結菜さえいなければ』
たったそれだけの一言が、結菜の小さな体を心を支配していたのだ。
母親はテーブルに肘を付き、頭を両手で抱えて考える。
「なんで…?いつ…?」
私は黙って待つしか出来ない。
「…あ……」
何かを思い出したようだ。
母親の話はこうだった。
数ヶ月前、離婚後新しく付き合った彼氏と別れた時に、友達と電話でその話をしていた。
その別れた彼はいい人なのだが、彼女に子供のいる事がどうしても壁だったらしい。
その彼を知る友達が言った「人はいい人だったんだけどね」との言葉に、「結菜さえいなければねー」と、話の流れで発した言葉だったのだ。
そして、「彼氏なんかまた作ればいいよ」の言葉に、「でも結菜がいるからねー」とも。
しかしこれは、結菜が第一、一番大事というニュアンスだったらしい。
寝ていると思った結菜が聞いてしまい、その部分の言葉だけが結菜の心に刻み込まれてしまったのだろう。
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