CASE 1

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  誰かと電話をしている時に、母親が会話の中で発した言葉…   『結菜さえいなければ』   たったそれだけの一言が、結菜の小さな体を心を支配していたのだ。     母親はテーブルに肘を付き、頭を両手で抱えて考える。   「なんで…?いつ…?」     私は黙って待つしか出来ない。     「…あ……」   何かを思い出したようだ。       母親の話はこうだった。     数ヶ月前、離婚後新しく付き合った彼氏と別れた時に、友達と電話でその話をしていた。   その別れた彼はいい人なのだが、彼女に子供のいる事がどうしても壁だったらしい。   その彼を知る友達が言った「人はいい人だったんだけどね」との言葉に、「結菜さえいなければねー」と、話の流れで発した言葉だったのだ。   そして、「彼氏なんかまた作ればいいよ」の言葉に、「でも結菜がいるからねー」とも。   しかしこれは、結菜が第一、一番大事というニュアンスだったらしい。     寝ていると思った結菜が聞いてしまい、その部分の言葉だけが結菜の心に刻み込まれてしまったのだろう。  
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