2187人が本棚に入れています
本棚に追加
食事の用意が出来て結菜に声をかけると…
結菜は奥の部屋から出てきた。
手に絵は持っていない。
「ごはん食べよ?」と私が言うと、ニコッと笑って頷き、席に着く。いつもの結菜だ。
子供達が食事をしている間に、乾燥機にかけていたシーツを奥の部屋に運びながら、結菜の絵を探した。
あった…
結菜の絵は小さく小さく何度も折り畳まれて、ゴミ箱の中に入れられていた。
紙…後にパウチをする予定だったので、画用紙ではなくノートサイズの薄めの紙とはいえ、小さく折るというのは大人でもなかなか力のいるものだ。
何度も曲げて折ってを繰り返したのだろう…紙全体のシワは元より、折り目の角になった部分は小さな穴になっていた。
私はそっとエプロンのポケットにその絵を忍ばせた。
その後の結菜に変わりはなく、いつもの結菜に戻ったまま夜の就寝を迎えた。
安らかに寝息をたてる結菜の顔を見ていた。
思い過ごし?
いや…でも…
結論は出なかった。
そして…
この絵をどうするか。
母親に見せるべきか。
結菜としてみれば、見せたくないものかもしれない。
でも、何かのサインかもしれない…。
母親が結菜を迎えに来た。
最初のコメントを投稿しよう!