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「さて、簡単に倒すが構わないよな?」
誰に聞くわけでもなくそう言って前を見た。
「嘗めやがって」
一瞬あっけにとられていた目の前のバカは、はっとしたように気付くと、威勢よろしく武器を構え直す。
そっちがやる気なら別に良いか。
「身の程知らずが。瞬殺してやる。」
またそうやって挑発すると、簡単に乗ってきた。
「上等だコラァ!!目も開かねぇぐれぇに殴ってどっかに売り飛ばしてやる!」
頭に血ののぼったバカは倒しやすい…一直線ど真ん中で大剣を降りおろそうとした奴と距離を取り、俺は傀儡についた糸を引く。
緑が懐に滑り込み、手に持った短剣を突き立てる。
「い゛ぃてぇ゛ー!」
腹から血を流した男は奇妙な声をあげると、地面に膝をついた。
「んだよ。もう終わりか?根性ねぇな。」
戦場で腹を刺されただけなら構わず戦い続けるものだと思うけどな。
「くそ、よくも…」
残りの4人が仲間の負傷をみて騒がしくなる。
「売るのは止めだ!ぶっ殺す!!
そこのチビガキもだ!」
俺の後ろのチトセを指差す。
チトセが俺の服を掴んだ。
「なぁ、大丈夫だよな?オレも戦うよ?」
不安げな顔を俺に向ける。
「くくく……お前は知らねぇだろうがな、この緑は簡単に逝かねぇよ。」
「いや、人形じゃなくてさ!」
チトセが叫びかけたところで4人がすぐ前にたつ。
自分より大きな影が緋鬼とチトセに注いだ。
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