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「お願いです…助けて下さい…死にたくない……」
涙を見せ、必死に懇願してくる。
「生きたいか。なら面倒くせぇし、トドメは刺さねぇよ。まぁ、その出血じゃどちらにせよもうすぐ死ぬ。残念ながら俺は医者じゃねぇから、死にたくなかったら誰かに頼め。」
そのまま武器屋に行こうと思い、背を向けて歩き始める。
後ろからチトセが追いかけて来た。
しかし野次馬も、その武器を見せろとか、どこの戦場に来ないか、などと騒がしく緋鬼を囲んだ。
なんとか返事して抜け出して、細い路地に入る。
「兄ちゃん本当に強かったな!あっと言う間だったぜ。」
ポケットに手を突っ込んで、チトセが笑顔で言ってくる。
「あ。」
緑をしまってなかった。
「で、お前は何なんだ?親は傭兵か?」
緑をしまい、今度は純粋に興味から聞いてみた。
さっきのチトセの殺気を思い出す。
「武器職人だよ。刀のな!」
チトセは顔を輝かせ、誇らしげに答えた。
本当に父親が好きらしい。
「それにオレ、これでも戦に参加したことあるんだぜ!三回。」
少し驚く。
まだ10そこらの自分の子供を戦場に行かせるなんて、どんな親だ。
…まぁ……あの街よりはマシか。
「そうだ。緋鬼、オレの家に泊まってけよ!」
「あ?」
予想外だった。
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