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「黒羽は、千鶴が…あいつの母親が死んだ時に作ったんだ…。」
緋鬼は黙って話を聞く。
「この街で、通り魔に殺られたんだ。女しか狙えねぇような最低な野郎にだ。
……でもな、そんなこと、この街じゃ当たり前だ…。今さら誰も驚かねぇ。
すべてにムカついたよ。妻を殺した通り魔!この街の連中!上の奴ら!何もなかったように生活する、何も知らない一般人…。憎んで憎んで憎んで憎んで…あの刀を作ったんだ。
初めは千鶴への黄泉への贈り物にしようと思ったんだがな。
いつの間にか、妖刀になってた………。」
俺は膝を抱えて目を閉じる。
寝てる訳じゃない。
ただ、チグマは俺に話してると言うより、独り言のようだったから気配を消していた。
チグマは続ける。
「黒羽を持って、チトセを戦に行かせたよ。黒羽を持ったやつは無敵だった。チトセはいつも重症を負うことなく帰ってきた。
最悪だろ…。
どうかしてた…。
息子を…まだ10歳の子供を戦に行かせるなんて。千鶴が残した、大切な形見を…。」
チグマは俺のように膝を抱えて、膝に顔を埋めた。
泣いているのだろうか………
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