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チトセが、粗野な男二人に押さえられていた。
チグマにも銃が突き付けられている。
「緋鬼、俺達はいいから逃げろ!木偶人形にされるぞ!」
ガンッ
「父さん!何すんだよっ!!!」
銃で殴られてなお、チグマは俺を見た。
はやく
と、口が動いたのは分かった。
が、俺は抵抗しないでいた。
「チグマ。黒羽は`上の奴ら´の所にあるんだろ?」
「まさかお前…」
俺は立ち上がる。
頭に突き付けられた銃を手で払うようにすると、抵抗する気がないと分かったのか、銃を下げた。
念には念をなのか、両脇には俺よりも二倍はあろうかというほどの(と言っても俺自体がそんなに大きくないが)大きな男が立った。
「懸命な判断ですね。行きましょう。」
サングラスをかけた事務的な口調な男が俺を見て言う。
なにが懸命な判断なのかと思ったが、まぁ良い。
「「緋鬼!!」」
促されるままに歩いた時、チグマとチトセの声が重なった。
「協力者は殺しておけ。」
グラサンが何の感情もなく言う。
「お前ら、感動の家族再会はあとにしろよ。」
俺は振り返って言ってみる。
グラサンは何も反応しない。
チトセは不思議そうな表情をし、チグマも一瞬、何の事だか分からないと言いたげな表情をしたが、すぐに俺を見てニカッと笑った。
「あぁ、そうだな。」
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