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どこに連れてこられるのかと思えば、初めに戦の街を見たときに目立った、あのオブジェだった。
街の中心に据えられた、センスの良いとは言えない黒い塊は、近づいて見てみれば、すべて武器で出来ていた。
こんなところでどうするのかと思ったら、前を歩いていた奴がオブジェの中に入っていく。
いやに大きいと思ったが、まさか建物だったとはな。
扉、というより穴の前で止まっていると、後ろからグラサンに押された。
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中へ入ると、上への階段がずっと続いていた。
しばらく上っていくと、思ったよりずっと広い部屋につく。
街を見渡せるほどではないが、見晴らしがいい。
夕方の為、部屋は夕日で紅く染まり、どこか幻想的だった。
中心に誰かが座っている。
「サツキ様。連れてきました。」
グラサンが恭しく頭を下げる。
サツキ様とか呼ばれた奴は、椅子から立ち上がると近づいてきた。
逆光の為、あまり顔が見えない。
「名前は?」
「……………緋鬼だ。」
サツキとかいうから、ひょっとしたら女かと思っていたが、男だ。
恐らく30代前半。敵意は感じない。
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