×戦の街×

21/28
前へ
/68ページ
次へ
「ぐぁ……」 サツキが刺された手首を押さえる。 床に落ちた黒羽をすかさず緑で拾い上げると、ついでなので、サツキに駆け寄ったグラサンを思い切り蹴ってやった。 そして緑を自分のすぐ後ろにつけつつ、出口へ走る。 グラサンと男たちが追いかけてくる音が聞こえる。 パァン!! 乾いた音が響いた。 自分に痛みはない。 ということは…… 緑を見れば、肩を撃たれ、中の木やら金具が見えてグロテスクな状態になっていた。 あー…後で直さなくちゃな。 続いて五発ほど銃声が響くが、威嚇のつもりなのか避けて撃っているようだ。 また、乾いた音が響く。 「ぐわあ゛ぁァ!!」 !? ちら、と後ろを見ると、何故かグラサンが撃たれていた。 「役立たずが!!」 サツキが、刺された手首を庇いながら怒鳴っている。 仲間割れなら好都合だ。 しかも仲間を撃ったら自分に不利じゃねぇか。バカなんだな… と思いながら、緑を戻し黒羽を持って出口を出た。
/68ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加