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「どけ!」
広場を囲むようにして立つ人垣に向かって叫んだ。早くしなければまた捕まる。
「お前らそいつを逃がすな!!」
サツキの怒声が響いた。
なるほど、こいつらは街に潜む牙の構成員か。………これ、住人のほとんどじゃねぇか?
分かったはいいが、やばい。
俺は正面突破を試みようとしていたのだが、多勢に無勢、無理だ。
なんとか他の方法を…。
かと言って立ち止まってられない。後ろからはグラサン連中が、前には人垣…!!
考えてられねぇ、正面突破しちまえ!!
黒羽を構え、全力疾走する。
「緋鬼!こっちだ!!」
反射的に声のした方を振り向くと、そこには刀を持って人垣と戦うチグマとチトセがいた。
「緋鬼、手伝うぜ!」
「さっさと行け!!」
二人は笑顔で俺を見た。
つられて……俺は微笑んだ。
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