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「じゃあな。世話になった。一応礼を言っとく。」
朝食を食べてすぐにルリアに言うと、家を出た。
朝食を食べてから、といってもまだまだ朝早い。
石畳の道はまだ夜の静けさを残していた。
「待って!」
見なくても分かったし無視しようと思ったら、肩を捕まれる。
反射的に振り向くと、やはりルリアだった。
…………大体、こいつしか知らないしな。
「なんだ」
「えっと……何て言うか…うーん……」
はっきりと物を言うルリアに珍しく、言葉を選んでいるようだった。
困っているのか、視線が定まらない。
「何もねぇなら行くぞ。」
忘れ物かと思ったんだが。
特に用も無さそうなので、さっさと道を歩く。
「ちょっと待ってよ!人の話くらい待ちなさい!」
慌ててルリアが走りよる。
「で?」
「会って欲しい人がいるんだけど。」
「は?」
「だからもう少し家にいて。」
「なんで会わなきゃいけねぇんだよ。」
大体、誰だそいつ。
「良いから良いから。私の父親よ。」
良くねぇよ。
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