8人が本棚に入れています
本棚に追加
「っ!!」
何か嫌な気配を感じ、後ろに下がる。
ルイガの手を見ると、小さな針を持っていた。ルイガは顔を歪める。
「勘が鋭いね。」
「何のつもりだ?」
警戒して向き合う緋鬼に、ルイガは微笑む。
「ちょっと一緒に来てほしいんだ……心配しないでくれ。ただ少し君に興味があるだけだから。」
「説得力のない笑顔だな。」
緋鬼は睨むが、ルイガは表情を変えずに近づいてくる。
「目的を言え。信じられるか。」
「だから、少し話がしたい。」
ルイガは立ち止まると、茶色い清潔なスーツのポケットから何かを取り出す。
「それならこのままでも出来るだろ。言えよ。」
「君みたいな、生意気で自信に溢れたガキは好きじゃないが…………顔は良い。」
ルイガはやれやれといった様子で首を振った。緋鬼は反応に困ってキョトンとする。
「は?…!!? 何すんだてめぇ!」
ガッ!と突然両腕を後ろから捕られる。後ろを見れば、正直忘れていたルリアだった。
「離せ」
同時に、不敵な笑みを浮かべたルイガが近づいてくる……ゆっくりと、威圧するかのように。
「チッ! そ…イッ!!」
バタッ、と石畳に倒れる音が響く。
まだほとんどの住民が起きぬ朝方、倒れる緋鬼を見下ろしてルイガとルリアは微笑んだ。
最初のコメントを投稿しよう!