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「なんだ?」
「兄ちゃん、この街初めてだろ。」
「そうだが。」
少年は、やっぱり、と言いたげな誇らしげな顔をして続けた。
やはり生意気だと思う。
「兄ちゃんみたいな奴はこの街じゃすぐに殺されちゃうぜ!」
このガキ…
でも一応聞いておこう。
郷に入らば郷に従え。の前に、郷を知らなくてはな。
「あのな、まず、兄ちゃんの格好目立つよ!初めて見たよ、そんな服。……それ、刺青?」
「あぁ…。」
指差された腕を思わずさする。俺は人形の街の伝統服を着ていた。袖がない為、朱いバツ印の刺青が見えてしまう。
それだけじゃなく、朱の衣の不可思議な格好は目立つだろうな。
「あと、兄ちゃん武器もってないじゃんか。弱いくせに威張ってる奴等に囲まれちゃうぜ。あいつらは数で攻めてくるからな!」
こいつ、経験あるのか?
「あと、兄ちゃんはまだ若いから。」
待て。お前が言うのはおかしい。
内心突っ込むが、相手はガキ。口には出さない。
かわりに、興味は無いが質問してみる。
「お前、名前は?」
「チトセ!」
嬉しそうに即答した少年の顔を、今初めてちゃんと見た。
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