×戦の街×

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「………………」 うろうろと街を見て回る。 思ったより綺麗だ、とさっきは言ったが、蜘蛛の巣のように街を通る細い路地は汚い。 血や瀕死の人、さらにはまだ時間のたっていない死体も少なからず見かけた。 どうやらこいつの話は誇張でもないらしいな。 腐敗した死体がないところを見ると、一応は回収されているようだ。 街を一周すると、ため息をつく。 「…で、いつまでついてくるつもりだ。」 自然に隣にいるチトセに聞く。 「ついてくるとか言うなよな!オレは兄ちゃんが絡まれても大丈夫なようにしてやってるんだぜ!」 拗ねたような返事が返ってきた。 「俺はお前が思ってるほど弱かねぇよ。心配される筋合いはねぇから早く帰りな。」 そう冷たくあしらえば、チトセはむっとして緋鬼を見上げる。 「お前だってオレが弱いと思ってんだろ! それにな、兄ちゃんが本当に強かったら、逆にあぶねーんだぞ。」 「へぇ。」 「てめ、嘘だと思ってるだろ!」 適当な返事は出来ないらしい。 「分かった分かった。なんでだ?」
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