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「あのな、この街は強い人間が欲しいんだってさ。」
喋り始めに、あのな、と言うのはどうやらこいつの癖のようだ。
「通じる言葉を喋れ。」
「あのな、父さんが言ってたんだよ。この街は強い人間が欲しいから、絡まれても簡単にやっつけるな。って。」
意味が分からない。
「つまり、絡またからって簡単に倒すな、と?」
「そうそう!
父さんが言うには、絡むやつの半分は本当の戦い好きなイカれたやつだけど、もう半分は、この街を管理する奴の手先で、強いやつはどっかの街の戦争に連れてかれるんだ、って!」
と、少年は嬉しそうに大声で言って腕を広げた。
こういうのは、もっと小さな声で言うものだよな…。
俺が気づいた時にはすでに手遅れで、近くにいたガラの悪い奴等に囲まれていた。
所々破れた汚い服に、大きな古傷と細かい生傷。力だけが取り柄だろう、大型の武器はどこかの傭兵か用心棒を思わせた。
「そこのガキぃ、面白そうな話してるなァ…」
「お前のようなガキはそんな心配しなくて大丈夫だぜ。なぁ。簡単に倒してみろよ。俺達をよ。」
理由はなんだって良いのだろう。
こいつらは前者のようだ。
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