第一章 出会いと旅立ち

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僕はあの町へ帰らなければいけないと言われた。 別に何かがあるわけでも無いのに…。 もう、誰かがいるわけでもないのに…。 ここはボクが来るには眩しすぎる町だ。 あの人が住んでいた町だからかもしれない…。 「あ、お帰りなさい!」 少し長い薄い碧の髪をもつ少女が近づいてきた。 全く見覚えが無いのにお帰りって…。 誰なのだろう…? 「…キミは?」 少女は驚き、哀しみながら答えた。 「……ホントウに何も覚えてないのね…。あたしは、貴方の妹のシーファよ…」 僕は『ボク』であって『ボク』じゃない。 この体は元々、シーファの兄の体で、『ボク』は偶然この体に目覚めただけなのだ。 本物は『ボク』の体を使っているだろう…。 「よろしくね。」 「兄さん…他人みたいに言わないでよ…」 「『ボク』は、君の兄さんじゃないんだ…。」 「え…?」 やはり、驚いたか… 「『ボク』は、いや、この体は君の兄さんのものだ。だけど、中身は『ボク』であって君の兄さんじゃない。」 「何を言っているの?しゃべり方や癖、声まで同じなのに中身が違うってどういうことよ!?」 彼女は、とても泣きそうな顔で『ボク』に訴えてきた。 「……わからないんだ…」 「…わからない?」
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