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今は昔。
そこにはある2人の男女が愛し合っていた。
しかし女の方は位が高く、また男の方は位が並だったために密かに会うことしかできなかった。
しばらくして女の父親にバレてしまう。
父親は相当怒り、女を家から一切出させないようにしてしまう。
女は四六時中泣き叫び、その声は家中に響き渡った。
そしてまた怒った父親は部下に女を殺せと命じ、最後に1つだけ女の願いを聞いてやることにする。
女は最後に一度だけ男に会いたいと願う。
しかしすでに男は父親の手によってこの世を去っていた。
女のところに届いたのは冷たくなった死体であった。
この家に仕えていた老婆はこの2人を哀れに思い、男には転生術を、女には時を移動し男の転生した時代へと行くことのできる術をかけてやることにする。
これは古くから伝わるもので成功した例はほとんどなかったが、女はこのまま別れるよりはと言うことで承諾した。
男は女に太陽の首飾りを握らされ、老婆によって光の中へと消された。
女は月の首飾りを握りしめ、老婆の作り出した渦の中に入りそして…
消えた。
これは何年も前の悲しい不思議な話。
だけど忘れ去られた本当の話。
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