奇妙で不思議な少女

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俺は今高校3年。 一週間前から夏休み。 受験もあるっていうのに、暑さのせいでやる気の出ない今日この頃。 燦々と降り注ぐ太陽の日差しを鬱陶しく感じながら、家で一番涼しい縁側で昼寝をしていた。 ちなみに俺はエアコンは環境に悪いからといって使わず、うちのただ一つの扇風機はお袋が独占中。 そんなわけで団扇をパタパタと仰ぎ、風を感じながらウトウトしていた。 それだけだったのにあんなことに巻き込まれるなんて… 「お…お前は誰だ?」 いきなり俺の上に現れた奇妙な少女に尋ねた。 すると少女は十二単を翻し俺の上から降りて向き直る。 「我に向かってお前とは不躾な。 まあよい。 我の名は琉奈(るな)と言う。 汝、名はなんと言うんじゃ?」 十二単を着ていても汗を全くかかないその少女は、俺の顔に自分の顔をグイッと近づけそう答えてさらに俺にも質問を返す。 長いまつげ、整った顔立ち、華奢な体つき… 見れば見るほど… 「可愛い…」 感じたことを思わず口にしてしまう。 俺がそう言うと少女は顔を赤らめ、目をそらす。 「そんな…面と向かって言われると恥ずかしいではないか…」 まあ見た目は変だが、悪いヤツではないみたいだ。
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