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🌷希唯
日本家屋の中は、春の陽射しを感じさせず、ヒンヤリと暗かった。
桃歌いわく、この家は、昔は大学の関係者が住んでいたらしいが、海外に引っ越すか何かで売りに出したが、なぜか買い手が決まらず、大学に譲ってくれたのを、部室として使わせてくれているらしい。
確かに、どこか不気味な感じがする。
華月は、そう感じだが、不気味な物は嫌いでもない、むしろ好きな方なので、少しこの家は気に入った。
考えながら、桃歌や男についていったら、奥の部屋にたどりついた。
「この障子開けてみて」
桃歌は、少しニヤけながら蜜柑に言う。
「うんわかった」
蜜柑が障子をあけて、約1.5秒後、
「キャ~~~~~~」
蜜柑は華月にしがみついた。
華月はわけがわからなかったので、障子からから部屋を覗いてみた。
「うわっ」
普段クールな華月でさえ、声を出して驚いた。
「あはは、誰でも最初は驚くよね」
桃歌は、八重歯を覗かせながら、ゲラゲラ笑っていた。
「そりゃ、こんな部屋中にギッシリ貼られた御札を見たら気味が悪いよな。驚かせてごめんね」
男性も少し涙を浮かべて笑っていた。
部屋の天井や壁に御札が貼ってあり、まだ貼っている途中の所もあるらしく、梯子があり、まだ貼られていない御札が数十枚畳の上に置いてあった。
桃歌は、手慣れた様子で、梯子に乗り御札を壁に貼る。
派手な女が笑顔で御札を貼っている。何とも奇妙な光景だ。
「えっ、こんな感じかな。華月もしようよ」
気がつくと、さっきまで叫んでいた蜜柑が桃歌と和気あいあいと御札を貼っていた。
どれだけ適応してんだ。と華月は心の中で柑橘系女子に突っ込んだ。
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