ようこそ神秘研究会へ

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🍀静酔→     「先生というよりは研修生と言った方が近いかな?この神秘研究会も僕の研究の一貫なんだよ」   宅間は優しげな顔を緩ませて笑った。札に埋め尽くされた部屋とは関わりのないような好青年だ。   先生と言うには童顔で、落ち着いた雰囲気を持つとはいえ近しい空気がある。やっぱりどう見ても同い年くらいにしか見えなかった。     「この札に何の意味があるんだ?」   冷茶に手を伸ばしながら華月が問う。敬語を使う気は全くないらしい。 その疑問に今更気がついたような蜜柑もまた、それに頷いた。好奇心に溢れた瞳がキラキラと光を反射させる。   「これはなぁ!にぎみたまが~~あやしものを云々……なわけだ!」   偉そうに胸を張る桃歌の説明は全く説明になっていない。寧ろ本人さえも理解出来ているのか怪しいものだ。     「和魂(ニギミタマ)に妖し者……そうだね。でもそんなに難しいことを考える必要はないよ。世の中には化学で解明出来ない不思議が沢山ある。それを調べようというのがここの存在理由なんだから」   色素の薄い髪が風に靡く。春だと言うのに、当たり前のように吹き抜ける冷たい風。そのひんやりとした感触が、再びブランコを揺らした。   そしてこの部屋は――と宅間は続ける。   「その不思議を感知する場所とでも言うのかな?」   和らげな声が三人の耳をくすぐる。中性的な顔が綻ぶが、その口が紡いだ言葉はどこまでもオカルト的だった。   そのギャップに唖然とする蜜柑と華月に、桃歌が口端を上げる。   「言葉で説明してもわかんねぇだろ。タクマの言葉はややこしいし」   そう言って札の山から一枚を手に取る。草書の崩した漢字とも言えない奇怪な線で描かれたそれを、桃歌は毒々しい色をした遊具に向かって投げた。   紙切れの割には重みのある飛び方をして、札は揺れ続けるブランコに向かう。錆び付いた鎖に当たる直前、それはバチバチという不快な音を立てて地に落ちた。   「?」   華月は眉を潜め、蜜柑はブランコに駆け寄る。焦げた札を手に戻ってくる頃には、蜜柑の入部意志は固まってしまっていた。   「凄いよ華月!さんだーぼるとだよさんだーぼると!魔法が使えるようになるなんて凄いね」   色々と勘違いをしたようである蜜柑にも、華月は突っ込むのを忘れてしまっていた。
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