7人が本棚に入れています
本棚に追加
💠あいす→
女の必要以上に派手な容姿に危険を察知し握り拳を準備していた華月だが、目の前に広がる光景に唖然とした。
それほど遠くには来てないはずなのでここはギリギリ大学の敷地内、といったところだろう。
しかし目の前にあるのは
ブランコや滑り台、……まるで公園のようだ。
そして遊具に囲まれた中央に建つ建物は
古びた一軒の家だった。
「……は?」
「うはは~驚いた?」
棒立ちになった華月の顔を女が楽しそうに覗き込む。
「ほら、あそこと繋がってるんだよ」
女が指差した場所にはフェンス━。それはさっきまで居たサークル勧誘の大広場に繋がっていた。
「いや~たまたまあそこを通り掛かったら『ちゃらちゃらしたサークルなんて興味ない』っていうあなたの声が聞こえてさぁー。こりゃ調度いいってんで気付いたらラチってた!」
一気に話し出す女からは蜜柑以上の自由さを感じる。
「あ、うちの名前は島中桃歌(シマナカ モモカ)!よろしく!ところであなたは?」
物事にはもっと順序という物があるだろう。帰りたい気持ちでいっぱいだったが、この場所の事が気になるのも事実。
華月は桃歌の話に付き合うことにした。
「私は大林華月。なんなのこの場所は?」
手短かつ単刀直入。気になりつつも帰りたいオーラはしっかりと溢れていた。
最初のコメントを投稿しよう!