プロローグ

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病院には定期的に通わなくてはいけない。それでも、なんら人と変わり無い生活を送れているとは思う。自分自身が一番驚くくらい、体には何の問題も無い様に思える。 それでも、医者が言うのだから、私に残された時間は短いのだろう。 だからこそ、一日、一時間、一分、一秒を無駄にはしたくない。 勉強をしたって、役に立てる未来が無いなら意味が無い。はっきり言ってしまうと、学校に通う意味を見いだせないのだ。同級生との触れ合いには、魅力を感じられない。 昔、まだ何も考えず学校に通っていた時。私の同級生は、私が聴力を持たないだけで可哀相だと見下した。 耳が聞こえないから、一緒には遊べないね。喋ったって解らないんでしょ。 そんな事は無いのに。小さい頃は少しは聞こえていた。だから今は相手の口さえ見えれば、言葉は読める。普通に会話出来る。 可哀相だと言われる理由は何一つ無いと、私は思っている。 唯一、私を解ってくれるのは家族だけ。叔母さんでさえ、耳の聞こえない私に不安を持っている。 三つ下の弟。それが私の一番の理解者。
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