プロローグ

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僕の中の1番古い記憶。 家のリビングで血まみれになって倒れる母と、包丁片手に高らかに笑い声を上げる、半狂乱の男の人。それを僕は押し入れの中から眺めていた。 母が言った。絶対に此処から出ちゃダメよ。僕はそれに従っていただけ。結果、僕は母が殺された瞬間を目撃することになってしまったが。 僕が四歳の時の出来事だった。男の人は、すぐに駆け付けた警察官によって逮捕され、今もどこかの刑務所にいるはずだ。死刑にはならなかった。精神状態の異常という、よく解らない理由で。 ちなみに、男の人は父親ではなかった。…母の『不倫相手』。 大人の事情はよく解らなかったけれど、それが世間体的には余り好ましくない事だとは解った。
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