プロローグ

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あたしは俗に言う、クラスで浮いた存在。 地味なわけじゃない。あたし自身が、人と関わることを避けているだけ。いや、諦めているとでも言った方が適切かもしれない。 教室の隅っこの自分の席から見る、教室内の風景は、あまりに自分の世界から掛け離れ過ぎて、映画のワンシーンでも見ている気がする。クラスメートは、滅多な用事が無い限り、あたしには話し掛けないし、あたしからはどんなに用事があろうと話し掛けることは無い。 すると、自然にこうなってしまったのだ。 極め付けは教師ども。これは、あたしからどうこうしようと思ったわけではない。けれども、奴らの時間とあたしの時間が交わることは無い。 それは、向こうからあたしを避けているからだ。あたしと関わらない方がいい。それを露骨に出している。 当てられる事の無い、授業。声を掛けられる事の無い、行事。来る事の無い、家庭訪問。
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