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目覚ましの音、いつもの退屈な毎日が始まる
最近気分を変える為、思い切って引っ越しを考えはじめたのだが、いい物件が見つからない
超高級マンション、古くて安い物件、以外であればと思っているのだが、雑誌を見たり、不動産屋に行っても似たようなものばかりで、これといって目移りするものが無い
いつもの様に電車に乗り、いつもの様に会社に行き、いつもの様に社食で食事、いつもの様に会社が終わり、いつもの様に見慣れた町並みを歩いて、いつもの様に終電に乗って・・・だが、その日は違った一件の不動産屋の前で足が止まった。間取り、家賃、立地条件、あまりにも良かった
今すぐ物件見たいと思う程だったが、時間も遅く当然そんな事は無理だと思い連絡先をメモして帰った
翌日連絡をし、物件の下見の日取りを決めた
下見の日、案内のもと物件を訪れた。内装も自分好みで手入れも行き届いていて、傷なども全くなかった
当然迷う事なくここに決めた
入居日も決まり、引っ越しの準備をしていると、インターホンが鳴った
「やっと来たか」
ドアを開けると友人の後藤が立っていた
「お疲れさま」
荷物を運び出している時、後藤から嫌な噂を耳にした
「知り合いから聞いたんだけどな、昔、無差別殺人があったらしくて、その一家が住んでた物件が、今すごく安く売り出されてるってさ、お前のところじゃないよな?」
笑いながらそう聞く後藤に正直ムッとした
「悪い!冗談だって、俺が聞いたのは全然違うところだから、怒んなよ、ごめん!」
「ったく、もういいよ、時間も遅いし早く行こうぜ」
やっと到着して荷物を運び込んで、後藤と一緒に夕飯食べ、帰宅した頃には23時をまわっていた
荷物を片付け始めた時、携帯が鳴った
辺りがあまりにも静かだった為、驚きながらも携帯に目をやると非通知だった
こんな時間に暇な奴もいるもんだなと思いながら、荷物の片付けを続けた
あの時この何気ない出来事を簡単に考えなければ、今回の恐ろしい体験はしなくても済んだのでしょうが・・・
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