第一章 「その男、殺し屋」

4/6
44人が本棚に入れています
本棚に追加
/50ページ
    ゆっくりとドアが開く。   光が一筋漏れ、その角度が広まっていく。   右腕がまずゆっくりと差し出される。   手にはコルトウッズマン、なかなか渋い銃だ。 気配から人数は一人。   右手首をつかむ。   内側にひねりながら投げ飛ばす。   落ちた相手の銃を蹴り飛ばし、こめかみにグロックを突きつける。     「なんのようだい?」   「・・・・」   「早くしてくれないかな、駆け引きは嫌いだよ」   「Rの件から手を引け」   「R?」   「悪いことは言わない、やめたほうがいい」   「ご忠告ありがとう、もういいよ。出ていったら?」    黒い服で身を固めた女は飛び出していった。   問い詰める時間が嫌いだし、別にどうでもいいことだ。   ただ、このアパートにはもういられないようだ。    翌日、フランス人から電話があった。  依頼主は中国人。上海にいるようだ。   ターゲットも上海にいる。実にシンプルだ。  上海に行けばいい。  
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!