第一章 「その男、殺し屋」

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    日本人が持つイメージと違う顔を持つ国がある。 例えばブラジル、首都ブラジリアは近代化が進み、未来都市のようだ。   そしてここ上海もなかなか変わった顔を今は持っている。  東京タワーより高い400mの高層ビル。 SF映画のようなビル郡が街にそびえ、ビルの上には派手なオブジェがのっかっている。   ここだけ見たら上海というイメージとは恐らく繋がらない。  しかし、そんな中、襤褸雑巾のようね服をまとった仙人みたいな人間が歩き、パジャマで普通に歩く人々がいる。   これが中国なのだろう。    そして1歩裏通りに入れば、そこは期待通りのアンダーグラウンドだ。 グレムリンが売られていても不思議じゃない。    顛紐通り-    骸骨のような物乞いと、阿片にやられた女を押しのけ、廃屋にはいる。   30年ほど時間が止まっている地域。    見覚えのあるふざけた髑髏の看板のドアを押し、「久しぶり」とつぶやく。   「そろそろ来るころだと思っていたよ」  流暢な日本語で答えが返ってきた。     なあに単に日本人なだけだ。   ニヤリと男は気持ちの悪い笑みを浮かべた。
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