第一章 「その男、殺し屋」

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    「情報は筒抜けってわけだ。じゃあ、俺を襲った組織のことも?」   「久しぶりなのに、世間話もなしかい」  「おまえと話すとだんだん腹が立ってくるんだ」   「はいはい。いつも時間のない人だよ。早死にするよ」   「心臓が止まってポックリ逝きたいね。で?」   「あなたを襲ったのは頚忠(ケイ・チュウ)という組織だね。襲った女はもうこの世にいないよ。」  「Rって組織、いや個人名に心あたりは?」   「さあそれはわからない」   「そうかわかった、道具をもらおう」   「今回はずいぶん、揃えたね。一人でアメリカとでも戦うつもり?」   「アメリカとやるなら、少し足りないな。残りの金は後で振りこむ」   「もう帰るのかい」  「ああ、俺と一緒にいないほうがいい」     頭の奥に針が刺さったような感覚 -     「すまない、ドアに穴が開く」   そう言いながら、俺は、正面を向いたまま、脇の下に体温計を挟むようにホルスターの向きを調節し、スーツの内側から引き金を引いた。   ドアの向こうで人が倒れる音がする。   「どうしてわかった?」   「ドアスコープから視線を感じたのさ」     死体の衣服を調べても何も判らなかった。 とりあえず、この仕事には色々な付帯条件があるようだ。 危険が一杯。   素敵な言葉だね。     視線は本当に感じていた。 俺が人より取り柄があるとすれば、この感覚だろう。   危険、殺意・・・そういったものが昔からわかるセンサーが自分にはついているらしい。    なぜだかは解らない。  別に幸せな才能じゃない。      だが、それがあって今、俺は生きている。  
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