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「情報は筒抜けってわけだ。じゃあ、俺を襲った組織のことも?」
「久しぶりなのに、世間話もなしかい」
「おまえと話すとだんだん腹が立ってくるんだ」
「はいはい。いつも時間のない人だよ。早死にするよ」
「心臓が止まってポックリ逝きたいね。で?」
「あなたを襲ったのは頚忠(ケイ・チュウ)という組織だね。襲った女はもうこの世にいないよ。」
「Rって組織、いや個人名に心あたりは?」
「さあそれはわからない」
「そうかわかった、道具をもらおう」
「今回はずいぶん、揃えたね。一人でアメリカとでも戦うつもり?」
「アメリカとやるなら、少し足りないな。残りの金は後で振りこむ」
「もう帰るのかい」
「ああ、俺と一緒にいないほうがいい」
頭の奥に針が刺さったような感覚 -
「すまない、ドアに穴が開く」
そう言いながら、俺は、正面を向いたまま、脇の下に体温計を挟むようにホルスターの向きを調節し、スーツの内側から引き金を引いた。
ドアの向こうで人が倒れる音がする。
「どうしてわかった?」
「ドアスコープから視線を感じたのさ」
死体の衣服を調べても何も判らなかった。
とりあえず、この仕事には色々な付帯条件があるようだ。
危険が一杯。
素敵な言葉だね。
視線は本当に感じていた。
俺が人より取り柄があるとすれば、この感覚だろう。
危険、殺意・・・そういったものが昔からわかるセンサーが自分にはついているらしい。
なぜだかは解らない。
別に幸せな才能じゃない。
だが、それがあって今、俺は生きている。
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