交渉

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    「死んだと聞いていたけどね。噂はあてにならない。」   「あなたはなかなか死なないね」 微笑んだまま、黎はそう言った。   「ターゲットは確認した。ストーリーもね。今日は依頼を断りに来た。あまり好きじゃないストーリーだ。それに俺は子供を殺さない。」   「そんな、小さなわけのわからない正義感が貴方の持ち味ね。子供を殺さない理由は?今まで何人殺したの?敵討ちみたいな仕事ばかりしてるみたいだけど、貴方は神じゃないわ。それも人の命を奪ってることに何の違いもない。」   「反論するつもりはないよ。議論しにきたんじゃない。嫌だから嫌だ。そう言いにきただけ」   「今、この階の外に部下が集まってきてる。あなた一人で抜け出せるつもり?」   「少なくとも100人は道連れにするよ。あんたの部下のレベルが低ければ、もっとだ」   「あなたは相変わらず面白い。わかった。この依頼は別に回すことにします。ところで私の仲間にならない?貴方の不思議な運が欲しいの」    「いいよ」   「えっ?」   「予想外の答えをするのが趣味なんだ」  そう言って俺は微笑んだ。なあに組織なんて後からいくらでも抜けられる。   「ただし、仕事の選り好みは変わらない。それでも良ければ」そう俺は付け加えた。   組織に属さないのがかっこいいわけじゃない。 勿論入ったから安全というわけでもな いが。
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