第二章

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外は雨。 ザーザーと音を立て、コンクリートにシミを作る。 空色にピンクと白と黄色の水玉模様の傘とグレーのレインコートを着て、俺は街路樹を歩いていた。 水玉模様の傘には母親が書いてくれた"ありすがわ ひびき"という文字が見える。 「だあー、なんで俺がこんな日に外に出なきゃ行けないんだよっ!」 姉ちゃんにプリンが食べたいから買って来いと命じられた俺は仕方なしにコンビニへ足を運んだ。 雨のせいか、寒くて手が震える。 「寒いー」 ジーンズはびしょびしょ。 寒くて仕方ない。 こんな日にも桜井は仕事してると思うと、心が痛んだ。 俺はきっと幸せな人間なんだろうな‥ 傘を畳んで、コンビニの中に入る。 暖かい空気が俺を包み、自然と笑みがこぼれた。 外は雨。 今日は雷も鳴りそうだ。
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