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「織姫様も ご家族に愛されているでしょう?」
「分かりませぬ。母上様は西王母(せいおうぼ)、死を司る神ですわ。
例え私が死んだところで涙を お流しになるのでしょうか…。」
「きっと西王母様も我が子ともなれば さぞ お悲しみになられるでしょう。
織姫様、あなたは 地上を、命を こんなに愛でているというのに、ご自分には愛が貧困ですね。」
「…だって…難しい事は分からないんですもの…。そうですね、確かに 命を見るのは好きですわ。心が穏やかになるのです。
夏彦様、姫様は おやめになって。私は織撫(おりな)ですわ。」
織撫は夏彦を見ながら笑いかけました。
小鳥のさえずりと、色鮮やかな緑の葉が鳴る静かな日だまり。
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