5367人が本棚に入れています
本棚に追加
それと共に添付されてきた。
一枚の写真。
それは、少年の病室の写真だった。
その病室は明らかに隔離されていて、少年はぐったりしていて、体には心電図と脳波計。
間違いなかった。
この少年を私は知っている。
八千草 タイチ
八千草アメの弟だ。
やはりアメは、ただお金の為じゃなく…………
「弟を助ける為に…………戦っていたんだ……」
その事実を知った時、再び涙が止まらなかった。
「どうして………お金の為だなんて……どうして弟の為だって言ってくれなかったの………」
その場で泣き崩れる私に萩野はゆっくりと口を開いた。
「それをお前が聞いていたら…………素直にアイツを撃てたか……?」
私は振り向かず、俯いたまま彼の話を聞いた。
「オレがお前の立場だったら、銃を壊してでも、打たせなかっただろうな…………」
そうだ。
きっと私もあの時、「弟の為」なんて言われてたら、絶対銃なんて向けれなかった。
「きっと八千草はお前のそういう所を知っていて、わざと低俗な立場を演じたんだ」
そうか…………
アメは憎まれ役をわざと買って出て、私達に撃たせる様に仕向けたんだ。
「でなければ、オレもあの時八千草を助けるのを諦めきれなかったかもしない…………」
撃たなければ、体育館できっとこう着状態のまま時間だけ過ぎて、みんな駄目になっていた。
「そう。全ては…………沢咲。お前を助ける為にな」
だから………
アメは最後に言ったんだ。
お願い…………って。
最初のコメントを投稿しよう!