TЯAP 6

60/65
前へ
/406ページ
次へ
それと共に添付されてきた。 一枚の写真。 それは、少年の病室の写真だった。 その病室は明らかに隔離されていて、少年はぐったりしていて、体には心電図と脳波計。 間違いなかった。 この少年を私は知っている。 八千草 タイチ 八千草アメの弟だ。 やはりアメは、ただお金の為じゃなく………… 「弟を助ける為に…………戦っていたんだ……」 その事実を知った時、再び涙が止まらなかった。 「どうして………お金の為だなんて……どうして弟の為だって言ってくれなかったの………」 その場で泣き崩れる私に萩野はゆっくりと口を開いた。 「それをお前が聞いていたら…………素直にアイツを撃てたか……?」 私は振り向かず、俯いたまま彼の話を聞いた。 「オレがお前の立場だったら、銃を壊してでも、打たせなかっただろうな…………」 そうだ。 きっと私もあの時、「弟の為」なんて言われてたら、絶対銃なんて向けれなかった。 「きっと八千草はお前のそういう所を知っていて、わざと低俗な立場を演じたんだ」 そうか………… アメは憎まれ役をわざと買って出て、私達に撃たせる様に仕向けたんだ。 「でなければ、オレもあの時八千草を助けるのを諦めきれなかったかもしない…………」 撃たなければ、体育館できっとこう着状態のまま時間だけ過ぎて、みんな駄目になっていた。 「そう。全ては…………沢咲。お前を助ける為にな」 だから……… アメは最後に言ったんだ。 お願い…………って。
/406ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5367人が本棚に入れています
本棚に追加