TЯAP 7

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「確かに以前TЯAP HiGH SCHOOLをオレだけが脱出した………だが」 萩野が発した「………だが」に私達の頭が瞬時に反応した。 「………だが、脱出後の丸半日の記憶がオレにはない」 「!!?」 いまいち頭の整理が出来なく私は萩野に聞き直そうとしたが、萩野はそのまま話を続けた。 「オレが学校を脱出し、走って校舎を後にしようとした時………急に妙な感覚に襲われ意識が無くなっていた。気付いた時には、何故か病院の個室のベットで横になっていた」 …………衝撃の事実だ。 萩野が後から医者に聞いた話によると、学校の校門前に倒れていたのを通り掛かった人に助けられ救急車で運ばれたらしい。 聞く限り奇妙な話としか言えない。 しかし萩野を襲った妙な感覚はこれだけではなかった。 「その次の日もそうだ。退院して学校に行ってみると、紛れもなく爆破されていたはずの自分の教室でオレは授業を受けていた」 それはきっとこの切り離された非日常に落とされたせいでもあり、その日常は不自然過ぎる程自然な光景だっただろうと、私は冷汗で額を濡らしなが萩野の話を聞いた。 「まるで初めから何も無かったかの様に日常が展開されていった…………消えた6人のクラスメイトを除いてな」 「その6人って、まさか…………」 そう。 萩野と共に学校に閉じ込められた6人のクラスメイト。 「その6人は各々別な理由で一斉に学校を去ったということになった。それ以上の事は教師を初め、誰に聞いてもわからなかった」 考えてみれば当たり前だ。 こんな非合法なゲームが公に曝される事など、それこそ問題だ。 だからきっと、黒幕はその事実を隠蔽できる程の規模だという事がわかる。私達が思っている以上に巨大な組織なのかもしれない。 でも、だからこそ許せない………… いったい人の命を何だと思っているんだ。 「脱出した後も奴らのふざけた幻想が続いていて、オレらの日常を支配していた。だからオレはその日から全ての日常を疑ってきた………友人も…親でさえも………」 おそらく、萩野も同じ気持ち………いや、それ以上の怒りを抱えているはず。 だからそんな馬鹿げた幻想をこれで終わらせなければならないんだ。 私達の手で。
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