転職と綱渡り

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恐らく、私のいけないところの一つに、『考える』ということが上げられる。 もちろん、『考える』事は必要だ。 だが私は考えすぎて行動が遅れている気がする。 今は、仕事が1番の考える対象だ。 仕事をすぐに辞めれば家族は離れていくだろう。 だから次を確立させていきたい。 ただどちらにせよ、メリット、デメリットが生じる。 仕事を変えなければ私が崩れる。 そうなれば家族も崩れる。 その前に転職。 ……いや、それもどうだろうか。 確かに私は今まで嫌な事から逃げていた。 だが、今回は、本当にやれるとこまでやった。 『つもり』や『多分』じゃなかった 仕事で、おかしくなるくらい。 でも、それを、まわりは理解してくれるだろうか。 そんなの、関係ないと思われるだろうか。 それなら恐らく転職も家族を失うことになる。 そう、これは綱渡りなんだ。どちらか選択肢を間違えば家族を失う。去っていく。 だから動けない。 どちらが正しい選択なのだろうか。 悩んでいる間にも残酷に家族の気持ちは離れていく気がした。 焦った。 ざわついた。 早く、早く。 そんな言葉が出て来た。 ゆっくり仕事を探すのも手段なのだろう。 妻は自分の気持ちを口に出す事が苦手だが、人一倍、優しい女性だったから。 だから私が苦しんでいるのを見て妻も戸惑い、悩み、苦しんでいるのだと思う。 「どうするの?」 「大丈夫?」 「頑張って仕事探して」 なにか一つ、ヒントが欲しかった。なにか言葉があれば、それが答に繋がる、綱渡りの綱が太くなる。 今、私に出来ること。信じること、家族を、自分を、世界を、神を。 私は昨日、また空を見上げた。広い広いこの世界。 沢山の星が見える、この星で私は見つけた。 どんなに輝く星よりも どんなに広い空よりも 確かに私は、見つけていた。 月のように私を…私の心を照らす確かな光りを。 大好きな家族を。 私は、確かに見つけていたんだ。
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