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『嫁に話してみろよ』
「無理だ」
『なんで?理解者でしょう?』
「けど多分離れていく」
『なぜ?』
「私がこうなると弱いからって…」
『弱いかもしれない。けどあなたが信じかいと奥さんも信じて助けてくれないんじゃない?』
「信じる……」
『そう、お前が選んだ人だから必ず助けてくれる。なにか力になってくれる』
「そう…だろうか?あいつも子育てで大変なのに、私の事を考えれるだろうか…」
『さあな、まずは、そこから始めてみるしかないだろう』
「……うん」
私は次の日、病院にいった。入院するなら隔離病棟に入れられるらしい。妻に余計話せなくなった。
医師から家族全員で話すよう言われ、日を改めて病院に集まる事となった。
私は不甲斐なく感じた。家族を引っ張りたいのに私は足を引っ張っている。私がいなければ、もしくは上手くいったんじゃないか。
私は家族と一緒に笑いたかった。
ただ普通と呼べる笑顔が、声がほしかった。
自宅にはテレビの音、エアコンの音しかない。
これが家族の声なら
いつもと変わらない景色と天井
みんながいてくれたなら。
それが私の元気だった。
それが私の強さだった。
妻にメールした。
「あなたに優しくする余裕はない、ゴメン」とメールがきた。
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