若き兵士たちの過去

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ジリリリリ、ジリリリリ。今日も今日とてやかましいベルが鳴る。短針5長針12、士官学校の朝は早い。 「……眠いわぁ~」 「早く起きなよツヴァイ。またフェイトにバカにされるよ?」 「眠い、あぁ眠い、まじスリーピングーやわぁ~。もうちょい長ぅならんかなぁ夜~」 無駄に長いぼっさぼさの赤い髪を束ねつつ寝ぼけ面の士官学校生が悪態をつく。もうひとりの白い髪をした女……いや男はすでに制服に着替え、シースに収められた刃のついていないレプリカ軍用ナイフを右手に持ちつつ寝ぼけ面の男の背中を叩き、渇を入れる。 「ほらさっさと準備して! 遅れたら地獄の鍛錬メニューなんだから!」 「もー先行けやヴィンセント~」 「ルームメイトが遅れたら連帯責任で僕まで怒られるんだよッ!」 さんざん言われて赤い髪の男……ツヴァイは渋々準備を始め、限り無く女っぽい白い髪の男……ヴィンセントは窓の外に靡く黒髪を見つけた。 間髪入れず窓を開けその黒髪の男を大声で呼ぶ。 「フェイトーっ」 「あ?」 黒髪の男……フェイトはその場で止まりヴィンセントに視線を移す。下は制服だが上に着ているのは黒のタンクトップである。 「こんな早くからランニングしてるの?」 「あたりめェだろ。戦場で死にたくなきゃ一割の努力でもしねェとな」 「一割?」 「もう一割は力、八割がた運だ」 「へ……へぇ」 ヴィンセントはなんだか独特な価値観だなぁなどと思いつつ寝ぼけ面ツヴァイと比べてみる。 「はぁ……」 何故かため息が出た。 「ハッハァオイクリムゾンヘッド。とんだ寝坊助だなァ」 「誰がクリムゾンヘッズじゃどあほう!」 「さっさとしねェとお家に返されちまうぜぇ。教官に言っといてやろうか? ツヴァイ君はお腹が痛くてお休みですってよ」 フェイトは意地の悪い笑みを浮かべつつ再び走り出してしまった。言われるだけ言われたツヴァイはというと……。 「あんの……クソボケぶっ飛ばしたらぁ!」 「準備速度あがったね……」
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