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アタシは、小さい頃から
『誰かに好かれたい、愛されたい』
そう思わなかった。
アタシが、
誰かを好いて、
笑い掛けて、
愛していれば、
皆はアタシの名前を読んでくれる。
その代わり、
信用はされないけど、
一緒に居たいと思われないけど、
アタシが、アタシさえ裏切らなければ、皆は笑えるから。
大津木は、アタシを
『好きになりかけてる』
と言った。
正直、それでも良いと思った。
アタシが大津木を裏切らなければ、大津木はアタシの事を嘘でも、
ウザイと思わない。
重いと思わない。
嫌いにならない。
「――、西崎」
「っ、はい?」
しまった、授業中だ。
アタシは何とか頭を起こして質問に答える。
そして、椅子に横向きに座り直し後ろの友達に話し掛けようとする。
「っ…?!」
びっくりした。
大津木と目が合った。
アタシは一番窓際の前の席。
大津木は隣の列の一番後ろ。
つまりアタシが後ろを向かない限り、大津木の姿は見えない。
しかも、大津木は大体の授業中、居眠りしている。
なのに、今は何故か起きていてアタシと目が合っている。
大津木の目を見て、心臓がドキドキ言っている。
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