桐生琴子という人

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  視界には、怒られた子犬みたいな先輩。 少し、酔いさめたかな? 「……今更?」 「だって、」 「別に怒ってませんよ?」 面倒ですけどね? なんて、口にせずとも思っていれば、近付いてきた先輩が、ぎゅっとコートの袖を掴んだ。 「どーしました?」 「……本当に、怒ってない?」 「怒ってませんよ」 珍しい。 このヒトの、こーゆー反応。 恋人ごっこの影響か? 「先輩?」 「…………、」 袖を掴んだまま、困った様な目が見上げてくるから、本当に軽く、触れる程度のキスをした。 「っっ!!?」 「ね?怒ってないでしょ?」 「っ、」 「はい。帰りますよー」 ……って、ダメだろ!俺っ!! 朝、次は無い!って誓ったばっかなのに。 飲みすぎたかな? 「先輩?」 「……、」 「怒ってます??」 「知らない」 まぁ、確実に明日には記憶に残ってないだろーし、 覚えてても文句言われてお終い。だろーから、 面倒見た手間賃って事で、許してもらおう。 ごめん、先輩。 [次へ]
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