『一人旅』

3/6
前へ
/8ページ
次へ
これでは、幾ら生活排水を浄化して海に流そうとも意味がないだろう。 そもそも、本当に浄化しているのかすら疑問だ。 名前は伏せるが、某高層ビルの排水管と思われる場所からは濁った水が文字通り垂れ流し状態に成っていた。 やはり企業なんて物は、利益追求しか考えて無いのかも知れない。 しかし、それを私が思った所で何が変わる訳もない。 私の目標である、『農業経営』では、こんな事をしたくないと、心底思った瞬間だった。 頭上に線路を見ながら、数時間たった頃、不意に私の携帯電話が鳴った。 慌てて見ると、メールの様だ。 しかし、送り主を見た瞬間、私は思わず立ち止まった。 ディスプレイには『母さん』と出ていたからである。 私の家は母子家庭で、母親は夜の仕事。 つまり水商売をして生活をしていました。 当時住んでいた場所が某T○Sの近くだった事も関係し、テレビ局関係者や芸能人が来る店を一人で切り盛りしていました。 会員制の為に、一般客お断りの中々高評価の店である。 その為、母親は基本的に、午前中はまず起きない。 しかし、時計は何時の間にか12時を回っていた。 恐る恐る内容を確認すると案の定、怒りを含んだ説教文が長々と打たれている。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

40人が本棚に入れています
本棚に追加