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第2話 夢の始まり
――遥か昔、この世界とは異なる多くの世界の間に戦いが起こった。
何百年も、何千年も戦い続けた結果、ある時世界は、消えそうになった。
たった一人の悪魔の仕業だった。彼は悪魔であり神でもあったのだ。
破壊と転生の神、彼はその時初めてそう呼ばれた。
彼に対して、創造と再生の神がいた。彼の破壊を防ぐ役割を担う、人間であり神であった。
各々がかき集めた人材、又は兵力を駆使して、あらゆる世界を巻き込んで戦った。
勿論、この世界の人間の中にも、戦いに参加した人はいた。しかし、誰一人生きて帰った者はいなかった。
この戦いを、神々の最終戦争と称し、後世まで語り継がれた。
この戦いの中心になっていたのは、無数にある世界の中で最も数が多い、魔界に住まう悪魔。
次に、一つしかないが広大な空間を持った、天界に住まう天使。
強力な魔力を内に秘め、人間と手を組んで戦いを起こした、精霊界に住まう妖精・精霊。
そして最後に、世界の中で最も数が少ない世界。精霊か妖精をその身に宿し、圧倒的戦力で戦いを優位に運んだ、人間界に住まう人間。
戦いの結末は、凄惨なものだった…戦いに参加した世界を全て同じ空間に押し込み、破壊と転生の神は仲間を、部下を裏切り、創造と再生の神を軽々と討ち滅ぼした。
圧倒的だった。たった独りで百万の人間と斬り合い、 たった独りで千万の悪魔と天使を斬り伏せ、たった独りで闇の眷属、俗に言う魔物を斬り捨てた。
そして、そのまま世界を滅ぼそうとした時、殺した筈の仲間と部下の二人が、彼の前に立ち塞がった。
戦いの結末の、最期の時に、彼は討ち滅ぼされた――
…校長は長々と昔話を話し続け、最後にこう言った。
「これは、嘘でも妄想でもない、れっきとした事実だよ。そして、その生きた証拠として、僕がいる。昔の様な魔力は、あまり残っていないけどね」
…そう、俺が夢の世界に迷い込んだ瞬間だった。
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