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青い空を見つめながらアラードは、物思いにふけっている。
(確かに、このミッションを受ければ、約束を果たす時間が早くなる。秘術を手に入れ、救うことができたらすべてが終わるはずだ。だが、それで、すべてが終わるのか…。パンナを救うことも、秘術を手に入れればできるのか。)
と、アラードは、眉間にしわを寄せて考えている。
「アラード様…。どうかされたのですか?」
と、アフェがそんなアラードを見て、心配そうに声をかける。
しかし、アラードには聞こえていないらしく、じっと空を見上げている。
アフェは、黙り込んでしまう。
いつも、アラードは、深く考えに浸ると、自分の声は届かないことを知っているからだ。
噴水から水が噴き出し流れていくのを、アフェは見つめる。
どうやってあんなに噴き出しては流れていくのか不思議だ。
地下水が空になってしまうのではと、アフェは思ってしまう。
噴き出していくのも、水がたくさん流れていくのも、あの噴水の内部では、不思議なことが起こって水がああして出るんだろうと、アフェは思う。
アラードは、ようやく我に戻り、アフェの方を見る。
「アフェ。行くぞ。準備して、ここを出よう。ひとまず、隣国を目指す。」
と、アラードは言った。
アフェはコクリと頷き、アラードと共に歩き出した。
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