1人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
セレニア王国を出て、二人はセレニア街道を沿って歩いている。
煉瓦を敷き詰めてできた道に、夜につく街灯が立っている。
アフェは思わず、走り出した。
歩いてきた道の先を振り返ると、セレニアの象徴とも言える大きい門が見える。
アフェは、じっと見つめた。
がっしりと門は立ち、門の左右に美しいピンク色の花の木が立っている。
アフェは、しばらくの間見つめていたが、アラードのほうへと戻っていく。
アラードは、荷物から地図を取り出す。
地図を広げ、セレニアの隣国・ライル国を見る。
セレニアから、北の方向にライル国はあった。
アラードは、ライル国に指を置き上の方へと動かす。
「ライル国の北の方角に、サハナ大公国がある。そこに、カイトがいる。そいつに会えば、パンナの今の状況を知ることができるはずだ。アフェ、行くぞ。」と、アラードは言った。
「はい。アラード様。まずは、ライル国を目指すのですね?」
「そうだ。そこで、レンに仲間になってもらう。カイトは気難しい奴だからな。行くぞ。」
と、アラードは言うと、再び歩き出す。 アフェも、後ろからついて行く。
街道を抜けると、その先に休憩する場所があった。
アラードは、後ろにいるアフェを見やる。
疲れた表情はしていないものの、これからの長い旅のことを考えると、必ず途中で疲れていくはずだ。
そう考えたアラードは、休憩所に行き少し休息することにした。
休憩所で、アフェは荷物から本を取り出す。
「何個か、修得したのか?」
「はい。癒しの術と、火系の術と、水系の術を修得しました。あと少しで、体術も身に付けそうですわ。」
と、アフェは嬉しそうな表情で、答える。
風が吹いた。
春の訪れの風の舞。
その風の舞から、花の匂いがした。
「ラフテフの花の香りがします。」
と、アフェは言った。
「この先に、ラフテフの花畑があるみたいだな。あそこに、その看板が立てかけてある。」
と、アラードはまっすぐに指を指す。
最初のコメントを投稿しよう!