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第二章「ライル王国」
町がある。小さい町だが、そこでアフェ、おまえの新しい杖を買わないといけない。その杖もまだ使えるが、少し強力な杖がいいだろう。」
と、アラードはアフェが右手に持っている長い杖を見ながら言った。
杖の先端に、赤い魔石がはめこまれた木でできた細い杖を、アフェは見つめる。
「では、これは捨てるのですか?」
と、アフェは少し蔭りを見せた表情で聞く。
「いや、その杖と新しい杖を融合させることができる。そうすれば、一段と強いものになると聞いた。それは、アフェ次第だ。今、持っている杖は捨てなくてもいい。小さくして、持っていろ。」
と、アラードは答えた。
「はい。わかりました。」
と、アフェは笑顔で言った。
アフェにとって、この杖は大事な杖なのだ。
アラードに買ってもらったものだから。
初めてアラードに会ったのは、アフェが正体不明のわけの分からない魔物に、襲われていた時。
彼は、助けてくれたのだ。
とても強く、一瞬にして、アフェを殺そうとした魔物を倒したのだ。
アラードは、ケガをしていた。
アフェが、治癒の術で、その時治した。
アラードは、アフェの力を見て、一緒に旅をしないかと誘ってきたのだ。
旅をする前に、アラードは、この杖を買ってくれた。
魔力を高め、護るべき者のための杖を買ってくれたのだ。
アラードとアフェは、大岩にたどり着く。
どっしりとした大きな岩には、たくさんの見物客が集まっていた。
岩を取り囲み、上を見上げて指を指したりしていた。
その大岩の上に、何人かの人間が何か作業をしている。
「何しているのでしょう。」
と、アフェが呟いた。
「あの上で、調査しているんだろう。」
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