ZEN / GOODNESS

3/21
前へ
/136ページ
次へ
善はロックミュージシャン兼タレントとして、デビューから8年経っている。 知名度は高く、映画にドラマ、バラエティー番組などタレントとしても売れている。 勿論、本分のミュージシャンとしても、ポップソングが売れやすい中で頑張っている。 「善兄……?」 タクシーの中で冬樹が呼ぶ。 「何、冬樹?」 「僕は……変かな?」 「何言ってるの?」 冬樹の問いに善が目を丸くした。 「小学校から不登校。中学は1回も行ってないからほとんど学歴は小卒。高校には行く訳もなく、仕事もしない。普通じゃないよね、僕、やっぱり……」 窓からの景色を眺めながら冬樹が言った。 「……それだったら俺も普通じゃないよ。高校中退、コネもなしにミュージシャン目指して毎日、ギター弾いて。18になったその日に結婚して、式は挙げてないで……。十分、俺だって変だと思わない?」 善が冬樹に腕を回し、肩を抱き寄せて言った。
/136ページ

最初のコメントを投稿しよう!

536人が本棚に入れています
本棚に追加