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「寝ちゃったか……。まだ、ツラいんだよね……」
眠った冬樹を自宅の冬樹のベッドに寝かせ、善が言った。
「善くん、帰ったの?」
部屋に女性が入ってきた。長い髪の毛を結いだ善と同い年ほどの女性。白鳳麻里。善の女房だ。
「うん……ただいま。
途中、病院で冬樹拾ってきたからちょっと遅くなった」
言って冬樹は麻里と一緒に部屋を出た。リビングに向かい、ソファーに深く座る。
「冬樹くん、大丈夫だった?」
「うん……すぐ退院出来たらしいから。何て事はなかったんじゃないかな」
善が言うと麻里が温かい紅茶をいれて持ってきた。
「ありがとう」
「……善くん」
「うん?」
紅茶を飲んでから善が麻里を向く。
「冬樹くんのお部屋、掃除してたら……こんなのが出てきたの」
麻里が善に紙を渡した。メモ帳に走り書きされたらしく、雑に破り取られ、ぐしゃぐしゃになった跡がある。
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