ZEN / GOODNESS

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「善兄……。ちゃんと、すぐ帰るから。いいでしょう?」 冬樹がそう、訴えた。 「絶対?」 「うん、絶対。ちょっと散歩したら帰ってくるから」 「……分かった。じゃあ、気をつけてよ?」 うん、と冬樹が返事をして立ち上がった。マフラーを首に巻き、静かに家を出て行く。 外は確かに寒かった。吐き出す息が白く、そのまま消えていく。 「……」 歩き出して、冬樹は夜の空を見上げ、またたく星をぼんやり眺めた。 「いくつ空には星があるんだろう……?」 呟いてから冬樹は足を止めた。歩道に人の姿は全くない。車道にも車はなく、冬樹は自分1人に思えた。 「星は何故、輝く……?輝くのに意味はあるの……?気が遠くなる年月をかけてやってきた星の光は……もう、終わった星の光かもしれない……」 呟いてから冬樹はしばらく無言で空を見た。
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