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「……」
パソコンに向かう善。ちらちらと時計を見て、キーボードを叩かずに指がテーブルの上でトントンと跳ねている。
「……」
「善くん、心配なの?」
見かねた麻里が善に言った。
「え?うん……凄く」
答えて善はパソコンから顔を離した。
「だって冬樹の放浪癖は病気みたいなものだもん。ふらふらっとあちこち行って、すぐに帰れる距離じゃなくなって、そのまま先に行っちゃうんだから」
「善くんみたい」
笑いながら麻里が言った。
「どこが?」
「だって、善くんもドライブとかしてると行き過ぎちゃったからって、戻らないでそのまま行っちゃうじゃない」
言われ、善は否定出来なくなる。
「……そういうのがあるから、凄く心配なの。分かってもらえた?」
「うん、分かった」
「早く帰って来ないかなぁ……」
と、善が呟いた時。善の携帯が鳴り出した。
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