ZEN / GOODNESS

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「もしもし?……鋭?どしたの?……うん……うん……うん……。じゃあ、今から行くから。ごめんね」 電話を切り、善が立ち上がった。 「どうしたの?」 「冬樹が倒れたって。鋭が偶然見つけて、今、鋭の所にいるんだって。ちょっと行ってくるね。遅い時間だから先に眠ってていいからね。行ってきます」 善は言ってからコートを着て家を出た。 「――来たか。今は眠っている」 柳原鋭。彼は善のバックバンドのベーシストで、善が学生時代にはバンドを組んでいた仲だ。 標準より少し低い身長に、名の通り鋭い目。偉そうな口調に大きな態度だが、善の信頼の厚い友達だった。 「ごめんね、鋭」 鋭の住むマンションのソファーに冬樹は横になっていた。出かけたままの格好だ。
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