はじまりの夜

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そういえばさっきから人の気配がない。人の気配どころか生命の気配すらない。まるでホラーゲームの舞台にでも迷い込んだようだった。 おいおいなんだってんだよ…なんで俺はこんなとこにいるんだ…! 冗談じゃない、とか色々考えていたその時。俺の斜め後ろくらいから、微かに草を踏み締めるような音が聞こえた。 ゲームやら映画なら。ここで振り返ると幽霊やら化け物が後ろにいて、主人公に襲い掛かってきたりするもんだろう。 そんな不吉な事を思い浮かべてしまい、恐怖感から俺の体は硬直してしまった。 …どうする、俺?! そう考えている間にも音は近づいてくる。 あと少しで、こっちにくる――!! がさり、と音をたてて草むらから姿を現したのものは。 「こっ……古泉!!?」 「おや、誰かいると思ったらあなたでしたか」 草むらから姿を現したのは。 SOS団における副団長、いつも穏やかな微笑みを浮かべている、古泉一樹、だった。
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